毎月1点アンティークの逸品をご紹介します。

夢織のおすすめ

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1.美術館所蔵のガレ作品
オルセー美術館所蔵のガレによるエントランスホール用に制作された作品。本品(ガレ象嵌デスク)に通ずる彫刻、象嵌が施されています。

2.アール・ヌーヴォーのサロン文化
ヨーロッパの上流階級の婦人にとって、主催するサロンの評判は、自己評価に重要な影響を及ぼしていました。サロンに招くゲストの人選、室内の設え、メニューのセンス、食器やカトラリー、ワインの趣味、食後に催す音楽会の選曲、自らがパトロンとなって支援している演者の実力…。建築、室内装飾、食器、宝飾品、衣装…空間と自らを、最新流行のアールヌーヴォースタイル一色にすることは、19世紀末のサロンの主にとって自己顕示の格好の手段でありました。

3.ガレの家具作品
エミールガレによるデザインで家具製作を行ったのは 19年程と言われています。日本文化の影響を受けた蜻蛉や蝶、 植物を大胆な構図で取り入れたキャビネットやテーブル、 椅子は極めて芸術性が高く、ガレの美意識が存分に具現化されています。 ※写真は夢織所蔵のチェア。オルセー美術館所蔵のチェアと同じ。

4.ガレ作品と文学
ガレは、ヴェルレーヌやボードレールの文学へ深く傾倒したことで知られていますが、ガレの作品が同時代を代表する文学に登場することは、あまり知られていません。20世紀を代表する文学作品、「失われた時を求めて」には、ガレのパトロンであったモンテスキュー伯やグレフュール伯爵夫人がモデルとされた人物が登場し、当然のようにガレの作品も引用されています。“憂鬱にして豪奢”と評される作家、アンリ・ド・レニエは、小説「真夜中の結婚」の中に、冒頭でお話した「あずまや」を登場させます。

ガレ オンベル文様 象嵌デスク

フランス 1900年代

19世紀末から20世紀初頭にかけて隆盛した、新しい芸術と謳われ、世界を席巻した装飾様式アールヌーヴォー・・・アールヌーヴォーを語る上で欠かすことの出来ない、稀代の作家エミール・ガレ。彼の作品は、ロシア皇帝から仏文豪マルセル・プルーストに至るまで、当時ベル・エポックの著名人達に愛され、今尚、ヨーロッパの城や美術館にて所蔵されています。ガラス・陶器の作品で名声を得て、それらの作品を飾るために木工家具制作に着手し世界にその名を轟かせ、アールヌーヴォーを代表するデザイナーとしての地位を築きます。ガレ本人が家具制作に携わったのは、この世を去るまで1885年から1904年までのわずか19年間のみでした。
今回ご紹介する逸品は、そのエミール・ガレによる家具作品、オンベル文様の象嵌が施された装飾デスクです。本品は、ガレがアールヌーヴォーのデザインを確立し、成熟期を迎えたころの作品になります。オンベルの花をテーマに制作されたガレによる同時期の作品は、パリを代表する美術館であるオルセー、アールヌーヴォー作品の宝庫であるナンシー美術館をはじめとしたミュージアムで所蔵されています。



美しい有機的なラインの側面の棚。日本の欄間を思わせる、美しい透かし彫刻がジャポニズムの影響を感じさせます。ガレは葛飾北斎、歌川広重の浮世絵に感銘し、日本画をはじめとした日本工芸品のコレクターでした。高島北海とはナンシーで交流もあり、ガレ自身の作品に大きな影響を与えています。日本芸術の匠が、フランス人のガレの感性によりこの棚に表現されています。

        

皇帝御用達の裕福な陶器商であった父に、ガレは幼少時から惜しみない英才教育の機会を与えられ、殊に植物学への関心を高め、後にフランス植物協会に所属し幾多の新種に関する研究論文発表した植物学者としても名を残しています。ガレのデザイン力の源は植物の深い造詣と自然界の美を捉えた日本芸術の影響にあると言えるでしょう。
家具作品では、ガレの思い描くアールヌーヴォーを表現するため、とても堅いウォルナット材にこだわり、そのウォルナット材を曲線華飾できる一流の職人が担い、象嵌には600種類以上の木材より作品に合わせて厳選し、木材の方向まで丁寧に選び抜いていたと言われています。そのガレの芸術観の全てがこの象嵌デスクに表現されています。

ガレが試行錯誤を繰り返し到達した境地「アールヌーヴォー(新しい芸術)」・・・時代の象徴として、時を超えて今尚、ガレの真髄がこの作品から感じられます。

5. オンベル文様の象嵌細工
ガレ工房の家具を語る上で、象嵌細工の素晴らしさは欠くことのできない要素です。 天板に咲き誇るオンベルの花。平面の木材で立体感を表現するには、木材の材質の特徴が大いに活かされます。所々、「杢」という帯状の煌めくうねりが、木目に直角に走っています。膨らみ始めた花の柔らかな質感は、縦・横の木目の視覚効果がもたらすのです。

6.縮み杢
デスクの天板、上部引き出しの天板の波のように美しい木目は、縮み杢と呼ばれるものです。繊維方向と直角に交わる美しい模様。ガレは、家具づくりにおいて家具作品のテーマ、家具の用途、何をモチーフにした象嵌細工かにより、こだわり抜いた独自の素材選びをします。ガレの審美眼に叶った木材が、600種以上あったといわれるガレ工房の木材貯蔵庫から厳選されました。

7.有機ラインの曲線美
足元で軽く反る洗礼された曲線の脚部は、植物の茎の意匠であり、天板の縁取り加工に、また両脇棚にも施されています。植物の姿を解剖学的に正確なデッサンにして、工房の家具職人に見せて学ばせたと言われるガレならではのデザインで、特に茎の分離や連結の構造に生かされています。

8.高島北海からの影響
明治新政府の技官として、森林学校の講義を受講するために1885年ナンシーへやってきた高島得三は、高島北海という雅号を持つ日本画家でありました。豊富な植物の知識、卓越した日本画の技法を持つ高島は、ガレと知己となり、ガレの作品に重要な展開をもたらします。出会った頃ガレはすでに日本の工芸美術品のコレクターでありましたが、高島との交友を通じて、単なる日本美術の模倣を超え、自然に関する認識を突き詰め、芸術家としての成長を果たします。

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