毎月1点アンティークの逸品をご紹介します。

夢織のおすすめ

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1900年パリ万博のリンケ展示品(左)
1900年パリ万博ポスター(右)
1878年パリ万博(下)

ブーシェ「詩の寓意、キューピッドたち」1760-70

ブーシェ「音楽の寓意」

ブーシェによるポンパドゥール夫人肖像画
ロココ芸術の偉大なるパトロンであった夫人は、ブーシェを国立セーヴル窯のデザイン担当理事に任命した。

天使ブロンズ装飾ヴィトリン

1880年代 フランス

1870年代フランス。ナポレオン3世治世下、華やかさを取り戻したパリで、フランソワーズ・リンケという新進気鋭の家具作家が注目を集めます。リンケが復活させた、宝石のように美しいロココ様式の家具。1878年、そして1900年に開かれたパリ万博で、リンケは決定的な名声を得るようになります。スゥエーデンやベルギーなどヨーロッパ各国の王族や、新興実業家や銀行家などのブルジョワジー、日本の富豪などが、競ってヴァンドーム広場にある「ラ・メゾン・リンケ」を訪れました。

今でも世界中のコレクターの目を惹きつけてやまないフランソワーズ・リンケの作品。今月の夢織のおすすめは、1880年代フランソワーズ・リンケ作天使ブロンズ装飾ヴィトリンです。フランス上流階級の暮らしを彩った、贅沢な逸品。見る者を夢見がちな気分にさせるのは、リンケの魔法がかかっているからでしょうか。
それでは細部を見ていきましょう。

琥珀のようにつややかに光り輝くマホガニー。わずかに紫色を帯びた木目が複雑に象嵌細工され、万華鏡を覗いたような風景を作り上げます。落ち着いた木肌の美しさに、オルモル細工が見事に浮かび上がります。
リンケの作品は、複雑な象嵌と華麗なオルモル細工が特徴と言えます。

           

上部のオルモル細工。奔放な天使たちが戯れています。愛らしいプット(天使)の上半身、下半身は牧神パーン。得意な笛をくわえ、音楽を心行くまで楽しむ愛くるしい表情。柔らかな姿。そのまなざしは、暖かな幸福感に満ちています。ロココ芸術において、プット(天使)は重要な装飾モチーフですが、パーンに扮したプットは、なんとも遊び心に溢れ、目にしたものは皆、愛らしい姿に惹きつけられ幸福な気分に包まれます。うららかな旋律が聞こえてくるようです。

         

左右に広がるリボンでつながれた花綱。編まれたみずみずしい花々のずっしりとした重みさえ、感じられます。

             

正面扉左右上部に装飾される女神の姿。慈悲深いまなざしをこちらへ向けています。どこか愁いを帯びた表情は、美の女神ヴィーナスを連想させます。大粒の真珠の首飾りが見事です。ギリシャ神話には、キプロス島に上陸したときヴィーナスの肌をしたたり落ちた海水が、真珠に化身したという伝説があります。

             

扉下部の大ぶりなオルモル細工。ここにもギリシャ神話の世界が物語られています。
祭壇の女神ヘスティアが、神殿の炉に聖火をくべています。カメオスタイルの陶板を模してつくられたオルモル細工は、この優雅な家具を象徴する装飾です。女神がかむった衣はわずかにたなびき、衣越しに浮かび上がる豊かな肉体は、永遠の若さと美しさを愉しんでいるかのようです。
取り囲むリボン。繊細なドレープを重ねるデザインは、マリー・アントワネットが好んだ装飾モチーフです。左右に広がる羽模様のスクロール。優雅な曲線に添えられた咲きたての薔薇は、甘くすがすがしい香りまで放っているかのようです。葉の一枚一枚まで精密に彫刻され、磨き上げられています。

            

S字型に曲線を描く4本の脚。それぞれにオルモル細工が装着されています。ロココの時代の貴婦人の靴を連想する豪奢なデザイン。細部に美の女神が宿るようです。

ヨーロッパが、その最も美しかった時代を謳歌していた日々…。
うたかたの夢は、未だ覚めることなくこの美しい家具に宿り、見る者の目を楽しませてくれます。

           

ヴィーナスの誕生

女神ヘスティア

ナポレオン3世(左)と
美貌の皇妃ウジェニー(右)

コレッジョ「ヴィーナス、サテュロス、
キューピッド」